製缶板金加工は、金属板を切断、曲げ、溶接などの加工を施し、箱状やパイプ状など、立体的な構造物を作る技術です。材料には、鉄、ステンレス、アルミなどが用いられます。特に、鉄鋼材料の中でも、SPCC(冷間圧延鋼板)やSS400(一般構造用圧延鋼材)といった鋼材が広く使用されています。 これらの材料は、強度、加工性、コストのバランスに優れており、様々な用途に適しています。
製缶板金加工は、自動車部品、家電製品、産業機械、建築部材など、多岐にわたる分野で利用されています。例えば、自動車のボディやフレーム、冷蔵庫の外装、工場の生産ライン設備、ビルの外壁パネルなどが挙げられます。
製缶板金加工と板金加工の違い
よく似た名前の板金加工と製缶板金加工。しかし、これら二つの加工方法は一体何が違うのでしょうか?その答えは金属板の厚さにあります。製缶板金加工では厚い金属板を扱い、板金加工では薄い金属板を扱います。製缶板金加工では一般的に7mm以上、板金加工では7mm以下の厚さの金属板を扱うとされていますが、これは必ずしも絶対的な基準ではありません。
製缶板金加工の工程の深堀り
製缶板金加工は主に6つの工程からなります。それぞれの工程を順を追って詳しく解説していきましょう。
1.切断
レーザー加工機、プラズマ加工機、シャーリング加工機などを用いて、コイル状またはシート状の板材から必要な形状を切り出します。レーザー加工機は、高精度な切断が可能で、複雑な形状にも対応できます。プラズマ加工機は、厚板の切断に適しています。シャーリング加工機は、直線切断に特化しており、高い生産効率を誇ります。
2.曲げ加工
プレスブレーキやベンディングマシンを用いて、切断した板材を曲げ、所定の形状に成形します。曲げ加工では、材料の特性、板厚、曲げ角度などを考慮し、金型や加工条件を設定することが重要です。
3.溶接加工
溶接ロボットや熟練工による手作業で、部品同士を接合します。溶接方法には、MIG溶接、MAG溶接、TIG溶接などがあり、材料や用途に応じて使い分けられます。溶接部の品質は、製品の強度や耐久性に大きく影響するため、厳格な品質管理が必要です。
4.研磨加工
グラインダーや研磨機を用いて、溶接部やバリなどを除去し、表面を滑らかに仕上げます。研磨工程では、表面粗さや仕上がり精度が求められます。
5.表面処理加工
塗装、メッキ、化成処理などを施し、製品の耐食性、耐摩耗性、装飾性を向上させます。粉体塗装は、塗膜が厚く耐久性に優れています。溶融亜鉛メッキは、犠牲防食作用により優れた耐食性を発揮します。