板金加工とは、金属板を素材として、切断、曲げ、プレス、溶接などの加工を施し、様々な形状の製品を製作する技術です。古くは刀鍛冶や甲冑師などが手作業で行っていましたが、産業革命以降、機械化が進み、現代では高度な加工技術と精密な機械を駆使して、自動車、航空機、家電製品、建築物など、私たちの生活に欠かせない様々な製品が製造されています。
こちらでは、板金加工の基礎知識から幅広い視点から解説していきます。
板金加工とは?
JIS Z 0101「工業用語」では、板金加工を「板状の金属材料を塑性加工により所定の形状に成形する加工」と定義しています。
具体的には、以下のような加工方法が含まれます。
・切断: シャーリング、レーザー切断、プラズマ切断、ウォータージェット切断など
・曲げ: プレスブレーキ、ベンディングマシンなど
・プレス: パンチングプレス、絞りプレスなど
・溶接: TIG溶接、MIG溶接、レーザー溶接、スポット溶接など
板金加工の種類
板金加工は、加工方法や目的によって、様々な種類に分類されます。
・抜き加工: パンチングプレスなどを用いて、金属板に穴を開ける加工です。
・曲げ加工: プレスブレーキなどを用いて、金属板を曲げる加工です。
- V曲げ
- R曲げ
- Z曲げ
- ヘミング
・絞り加工: 金型を用いて、金属板を凹凸のある形状に成形する加工です。
- 深絞り加工
- 浅絞り加工
・溶接加工: 複数の部品を溶接で接合する加工です。
- TIG溶接
- MIG溶接
- レーザー溶接
- スポット溶接
板金加工の機械と材料
板金加工には、様々な機械が使用されます
・レーザー加工機: レーザービームを用いて、金属板を高速・高精度に切断する機械です。
・タレットパンチプレス: パンチとダイと呼ばれる工具を用いて、金属板に穴あけや抜き加工を施す機械です。
・プレスブレーキ: 金型を用いて、金属板を曲げる機械です。
・溶接機: 溶接を行うための機械です。TIG溶接機、MIG溶接機、レーザー溶接機などがあります。
板金加工に使用される材料は、主に以下の通りです。
・鋼板: 鉄を主成分とする板材です。SPCC (冷間圧延鋼板)、SPHC (熱間圧延鋼板) などがあります。
・ステンレス鋼板: クロムやニッケルなどを添加した、耐食性に優れた鋼板です。SUS304、SUS316 などがあります。
・アルミニウム合金板: 軽量で耐食性に優れた板材です。A1050、A5052 などがあります
板金加工の品質管理
板金加工においては、高品質な製品を安定して供給するために、厳格な品質管理が求められます。
品質管理には、以下のような項目が含まれます。
・寸法精度: 設計図面通りに寸法が仕上がっているか検査します。ノギス、マイクロメーター、三次元測定機などが使用されます。
・外観: キズ、へこみ、汚れなどがないか検査します。
・強度: 引張試験、曲げ試験などを行い、必要な強度を満たしているか検査します。
・溶接品質: 溶接部の外観検査、非破壊検査などを行い、溶接欠陥がないか検査します。
板金加工のコストダウン
板金加工のコストダウンには、以下のような方法があります。
・材料の歩留まり向上: ネスティングなどを活用し、材料の無駄を削減します。
・加工工程の効率化: 加工順序の見直しや、自動化による省人化などを行います。
・金型設計の工夫: 金型構造を工夫することで、加工回数を削減したり、金型寿命を延ばしたりします。
・標準化: 部品や金型を標準化することで、設計・製造コストを削減します。