バリとは、金属、樹脂、木材などの材料を加工する際に、切削、プレス、鋳造などの工程で意図せず発生する、突出した部分やエッジの微細な残留物です。JIS B 0601:2013 では、「かどのエッジにおける、幾何学的な形状の外側の残留物で、機械加工または成形工程における部品上の残留物」と定義されています。
バリは、製品の寸法精度や機能、外観を損なうだけでなく、作業者の怪我や製品の故障の原因となるなど、様々な問題を引き起こす可能性があります。そのため、バリの発生メカニズムを理解し、適切なバリ取り方法を選択、さらにはバリ発生を抑制するための対策を講じることは、高品質な製品を製造する上で非常に重要です。
バリの発生メカニズムと種類
バリの発生メカニズムは、加工方法や材料、工具などによって異なります。主なバリの種類とその発生メカニズムご紹介します。
切削バリ
切削加工において、工具と材料の接触部で発生するバリです。
- ポアソンバリ: 材料が工具の刃先から離れる際に、材料の弾性回復によって発生するバリです。
- ロールオーバーバリ: 工具の逃げ面側に材料が巻き込まれることで発生するバリです。
- ビルトアップエッジ: 工具の刃先に材料が付着し、それがバリとなる現象です。
プレスバリ
プレス加工において、型と材料の隙間から材料がはみ出すことで発生するバリです。
- フラッシュバリ: 型締め時に、材料が型の分割面から押し出されて発生するバリです。
- ドローバリ: 深絞り加工などで、材料が金型に引き込まれる際に発生するバリです。
鋳造バリ
鋳造工程において、鋳型と鋳物の間に発生するバリです。
- パーティングラインバリ: 鋳型の分割面で発生するバリです。
- フィンバリ: 鋳型の合わせ目に発生する薄いバリです。
バリが引き起こすトラブル
バリは、以下のような様々なトラブルを引き起こす可能性があります。
- 寸法精度不良: バリによって寸法が設計値からずれてしまい、製品の精度が低下します。
- 機能障害: バリが可動部の干渉やシール不良を引き起こし、製品の機能に支障をきたします。
- 外観不良: バリが目立つことで、製品の外観品質が低下します。
- 作業者の怪我: バリで手を切るなど、作業者が怪我をする可能性があります。
- 製品の故障: バリが電気回路のショートや破損を引き起こし、製品の故障につながる可能性があります。
バリ取りの方法
バリ取りには、様々な方法があり、バリの種類や大きさ、材質、加工精度、コストなどを考慮して最適な方法を選択する必要があります。
- 手作業によるバリ取り: ヤスリ、スクレーパー、ナイフなどの手工具を用いてバリを除去する方法です。
- メリット: 低コスト、柔軟性が高い。
- デメリット: 時間と労力がかかる、品質にばらつきが生じやすい。
- 機械によるバリ取り: バリ取り機を用いてバリを除去する方法です。
- バレル研磨: 研磨石やコンパウンドを入れたバレル内で、ワークを回転させてバリを除去する方法です。
- ショットブラスト: 研磨材をワークに吹き付けてバリを除去する方法です。
- ブラシ研磨: 回転するブラシを用いてバリを除去する方法です。
- 超音波研磨: 超音波振動を利用してバリを除去する方法です。
- 熱によるバリ取り: 熱エネルギーを利用してバリを除去する方法です。
- サーマルデバリング: 燃焼ガスを用いてバリを瞬間的に燃焼させる方法です。
- 電解研磨: 電解液中でワークを陽極として電流を流し、バリを溶解させる方法です。
- その他:
- ウォータージェットバリ取り: 高圧水流を用いてバリを除去する方法です。
レーザーバリ取り: レーザービームを用いてバリを溶融・蒸発させる方法です。
バリ発生の抑制
バリ取りは、後工程で追加の作業を必要とするため、コストやリードタイムの増加につながります。そのため、設計段階や加工段階でバリの発生を抑制することが重要です。
設計段階での抑制
- エッジの丸め: 鋭角なエッジを避けて、R形状に設計することで、バリの発生を抑制できます。
- 抜きクリアランスの最適化: プレス加工における抜きクリアランスを最適化することで、バリの発生を抑制できます。
鋳造方案の検討: 鋳造における湯口や堰の配置、凝固条件などを最適化することで、バリの発生を抑制できます。
加工段階での抑制
- 加工条件の最適化: 切削速度、送り速度、切込み量などの加工条件を最適化することで、バリの発生を抑制できます。
- 工具の選定: 適切な材質、形状、コーティングの工具を選定することで、バリの発生を抑制できます。
- 加工液の選定: 適切な加工液を選定することで、バリの発生を抑制できます。