亜鉛メッキ鋼板加工の基礎知識から応用事例まで

近年、建築、土木、インフラなど様々な分野で利用されている亜鉛メッキ鋼板。その優れた耐食性や加工性から、多くの企業が材料として採用しています。本稿では、亜鉛メッキ鋼板加工の基礎知識から応用事例、加工時の注意点まで、より深く掘り下げて解説していきます。

亜鉛メッキ鋼板加工とは?種類、特徴、用途をわかりやすく解説

亜鉛メッキ鋼板 イメージ

亜鉛メッキ鋼板とは、鋼板の表面に亜鉛をメッキした鋼材です。亜鉛メッキ処理を施すことで、鋼板の表面に亜鉛の被膜が形成され、基材である鋼を腐食から保護します。これにより、耐食性、耐候性、耐熱性などが向上し、鋼材の寿命を延ばすことが可能になります。

亜鉛メッキ鋼板には、様々な種類があり、それぞれ特性や用途が異なります。主な種類は以下の通りです。

  • 溶融亜鉛メッキ鋼板(GI鋼板): 溶融した亜鉛のめっき浴に鋼板を浸漬することで、表面に厚い亜鉛被膜を形成する方法です。耐食性に優れており、屋外での使用に適しています。JIS G 3302で規定されています。
  • 電気亜鉛メッキ鋼板(EG鋼板): 電解法を用いて鋼板の表面に薄い亜鉛被膜を形成する方法です。溶融亜鉛メッキ鋼板に比べてめっき層が薄いため、加工性に優れており、塗装下地などに使用されます。JIS G 3313で規定されています。
  • 溶融亜鉛-5%アルミニウム合金めっき鋼板(GL鋼板): 溶融亜鉛めっき浴にアルミニウムを5%添加することで、耐食性、耐熱性を向上させたものです。JIS G 3321で規定されています。
  • 溶融亜鉛-55%アルミニウム合金めっき鋼板(GAL鋼板): 溶融亜鉛めっき浴にアルミニウムを55%添加することで、さらに耐食性、耐熱性を向上させたものです。特に高温環境下での使用に適しています。JIS G 3322で規定されています。
  • 溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板(ZAM鋼板): 溶融亜鉛めっき浴にアルミニウム、マグネシウムを添加することで、耐食性、耐熱性、加工性を向上させたものです。JIS G 3317で規定されています。

亜鉛メッキ鋼板は、その優れた特性から、建築、土木、インフラを中心に、家電製品など、幅広い分野で利用されています。具体的には、屋根材、外壁材、土木構造物、ガードレール、電化製品の筐体など、様々な用途に使用されています。自動車分野では、ボディパネルの一部やマフラーなどに使用されるケースもありますが、アルミ合金や高張力鋼板の利用が主流となっています。

亜鉛メッキ鋼板の加工方法|曲げ・溶接・プレス加工の特徴と注意点

亜鉛メッキ鋼板は、曲げ加工、溶接加工、プレス加工など、様々な加工方法に対応しています。しかし、亜鉛メッキ層の存在により、通常の鋼板とは異なる注意点があります。それぞれの加工方法の特徴と注意点を以下にまとめます。

  • 曲げ加工: 亜鉛メッキ鋼板は、曲げ加工性に優れており、様々な形状に加工することができます。しかし、曲げ加工を行う際には、めっき層の割れや剥がれ、ヒゲの発生に注意する必要があります。割れや剥がれを防止するためには、適切な金型や工具(例えば、Rの大きな金型や、研磨された工具)を使用し、加工条件(例えば、曲げ速度や曲げ角度)を適切に設定することが重要です。さらに、潤滑剤を使用することで、摩擦を減らし、めっき層へのダメージを軽減することができます。
  • 溶接加工: 亜鉛メッキ鋼板は、溶接加工も可能です。しかし、溶接時に亜鉛が蒸発して有害なヒュームが発生するため、適切な換気設備を備える必要があります。また、溶接部の耐食性を確保するためには、溶接条件を適切に設定し、溶接後に防錆処理を行うことが重要です。亜鉛メッキ鋼板の溶接では、ポロシティやブローホールなどの欠陥が発生しやすいため、パルスMIG溶接などの適切な溶接方法を選択する必要があります。
  • プレス加工: 亜鉛メッキ鋼板は、プレス加工にも適しています。複雑な形状の部品を効率的に生産することができます。プレス加工を行う際には、金型の設計が重要となります。めっき層の割れや剥がれを防止するため、金型の形状(例えば、抜き勾配やクリアランス)や材料(例えば、耐摩耗性の高い工具鋼)を適切に設定する必要があります。

亜鉛メッキ鋼板加工でよくあるトラブルと対策方法

亜鉛メッキ鋼板加工では、以下のようなトラブルが発生することがあります。

  • めっき層の割れや剥がれ: 曲げ加工やプレス加工など、塑性変形を伴う加工において発生しやすいトラブルです。適切な金型や工具を使用し、加工条件を適切に設定することで、トラブルを防止することができます。
  • 溶接部の腐食: 溶接部の耐食性が低下し、腐食が発生することがあります。溶接条件を適切に設定し、溶接後に防錆処理を行うことで、腐食を防止することができます。
  • 寸法精度不良: 加工時の温度変化や応力によって、寸法精度不良が発生することがあります。加工条件を適切に管理し、必要に応じて熱処理を行うことで、寸法精度を確保することができます。
  • 白錆の発生: 亜鉛メッキ鋼板は、湿度の高い環境下で保管すると、白錆と呼ばれる白い腐食生成物が発生することがあります。白錆の発生を抑制するためには、保管環境の湿度を管理し、必要に応じて防錆油を塗布するなどの対策が必要です。

亜鉛メッキ鋼板加工を依頼する際のポイント|業者選びの注意点

亜鉛メッキ鋼板加工を業者に依頼する際には、以下のポイントに注意して業者を選びましょう。

  • 加工技術: 亜鉛メッキ鋼板加工の経験が豊富で、高い加工技術を持つ業者を選びましょう。
  • 設備: 必要な加工に対応できる設備を備えているかを確認しましょう。亜鉛メッキ鋼板の加工には、専用の金型や工具、溶接機、プレス機などが必要となる場合があります。
  • 品質管理: 品質管理体制が整っているかを確認しましょう。ISO9001などの品質マネジメントシステムの認証を取得している業者であれば、品質管理体制が整っていると考えられます。
  • 納期: 納期を守ることができるかを確認しましょう。過去の納期遵守率や、現在の稼働状況などを確認することで、納期の信頼性を判断することができます。
  • 価格: 複数の業者から見積もりを取り、価格を比較しましょう。ただし、価格だけで判断するのではなく、品質や納期なども考慮して総合的に判断することが重要です。
  • 亜鉛メッキ鋼板の取り扱い経験: 亜鉛メッキ鋼板の特性を理解し、適切な加工方法や品質管理方法を熟知している業者を選びましょう。
  • 特殊な加工設備の有無: 高度な加工技術や特殊な加工設備が必要な場合は、それらを保有している業者を選びましょう。

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愛知製缶板金加工調達代行センターを運営する株式会社ホウキンは、鋼材商社として70年以上、愛知県エリアを中心に、材料調達から加工までをワンストップでサポートしています。亜鉛メッキ鋼板加工についても、豊富な経験と実績を持つ専門スタッフが、お客様のニーズに最適な加工方法をご提案いたします。最適な材料選定から加工まで、設計段階から最適な提案をさせていただきます。
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