製缶板金におけるダクト製作の基礎とその重要性

フランジ

空調、換気、排煙システムは、快適な生活環境や安全な作業環境を維持するために不可欠です。そして、これらのシステムにおいて中心的な役割を担うのが、製缶板金加工によって製造されるダクトです。ダクトは、空気を輸送するための管路であり、建築物や各種工作機械など、様々な場所に設置されています。

ダクトの設計では、目的とする空気の流量、圧力損失、騒音、設置スペースなどを考慮する必要があります。適切な設計がなされていない場合、空調効果の低下、エネルギーの無駄、騒音の発生などの問題が生じることがあります。

ダクトの材料

ダクトの材料には、用途や環境に応じて様々なものが使用されます。

・SPHC(熱間圧延軟鋼板)

一般的なダクト材料であり、加工性、溶接性に優れています。コストパフォーマンスが高く、幅広い用途に用いられます。ただし、耐食性が低いため、防錆処理が必要となる場合があります。

・亜鉛メッキ鋼板

 SPHCに亜鉛メッキを施した材料です。メッキ層により耐食性が向上しており、屋外や湿気の多い環境での使用に適しています。

・ステンレス鋼板

 耐食性、耐熱性に優れた材料です。特にSUS304は、食品工場や厨房など、衛生面が重視される場所で多く使用されます。

・アルミニウム

軽量で加工性に優れています。耐食性も比較的高いですが、強度が低いため、補強が必要となる場合があります。

 

ダクトの形状と役割

ダクトは、その用途に応じて様々な形状に加工されます。

・直管:円形または角形の断面を持つ、まっすぐなダクトです。空気の流れがスムーズで、圧力損失が少なく抑えられます。

・エルボ: ダクトの方向を変えるために使用されます。曲げ角度は様々で、45度エルボ、90度エルボなどが一般的です。エルボの曲げ半径は、圧力損失や騒音に影響するため、適切な値を選択する必要があります。

・ホッパー・レデューサー: ダクトの断面積を変化させるために使用されます。ホッパーは角ダクト、レデューサーは丸ダクトに使用されます。断面積の変化を滑らかに行うことで、圧力損失や騒音を低減できます。

・分岐管: ひとつのダクトを複数のダクトに分岐させるために使用されます。分岐角度や断面積を調整することで、各ダクトへの空気流量を制御できます。

・閉止板・閉止カラー: ダクトの端部を塞ぐために使用されます。閉止板は板状、閉止カラーは筒状の形状をしています。

・その他: この他にも、T管、Y管、レジューサー、フレキシブルダクトなど、様々な形状のダクトがありま

ダクトの接続方法

ダクトの接続には、フランジ接続、差込接続、溶接など、様々な方法があります。

・フランジ接続: ダクトの端部にフランジと呼ばれる接続部を設け、ボルトで締め付ける方法です。着脱が容易で、メンテナンス性に優れています。

・差込接続: ダクトの端部を嵌合させる方法です。施工が簡単で、コストを抑えることができます。

・溶接: ダクトの端部を溶接する方法です。気密性が高く、強度も優れています。

ダクトの設計における注意点

ダクトの設計では、以下の点に注意する必要があります。

・空気の流量: 必要な換気量や空調能力を満たすように、ダクトの断面積を決定します。

圧力損失: ダクト内を空気が流れる際に生じる圧力損失を計算し、適切な送風機を選定します。

騒音: ダクト内を空気が流れる際に発生する騒音を低減するため、ダクトの形状や材質を工夫します。

結露: ダクト内部で結露が発生しないように、断熱材を施すなどの対策を講じます。