工作機械や産業機械において、オイルパンは欠かせない部品です。加工時に発生する熱を抑え、切粉を洗い流すクーラント液の受け皿として機能します。このオイルパンは、クーラント液や切粉の排出、機械装置の補強、外観カバー取り付け用のフレームなど、多岐にわたる用途を持ちます。
1. オイルパンとは
オイルパンとは、機械や装置においてオイルやクーラント液といった液体を収集、保持、または排出するために設計された容器または部品を指します。この装置は、主に工作機械、産業機械、自動車エンジンなどの機械類で広く使用されています。
1-1. 液体の収集と保持
オイルパンは、機械の動作中に必要なオイルやクーラントなどの液体を一時的に貯留するために使用されています。例えば、自動車エンジンでは、エンジンオイルを収集することで、潤滑性能を維持させます。工作機械では、冷却用のクーラント液を受け止め、再循環させることで機械の安定的な稼働や精度を保ちます。
1-2.液体の流出防止
オイルパンの密封性は、機械やエンジンの性能や信頼性に直結する要素です。液体の漏れを防ぐため、溶接技術やシーリング材の使用、そして耐熱・耐腐食性に優れた素材選定を行う必要があります。例えば、エンジンの運転中に温度変化や振動が発生しても、変形を最小限に抑えられるよう熱膨張を考慮する必要があります。また、接合部の密閉性を確保するため、フランジ形状の最適化や液体ガスケットの使用などシール材を使用する場合もあります。
1-3. 機械の潤滑と冷却機能の補助
工作機械などで使用されるクーラント液は、加工中の部品を冷却し、摩擦による熱を抑制します。オイルパンは、このクーラント液を効率的に循環させる一助となり、冷却効果を上げます。また、エンジンオイルも同様にオイルパンで一時保持し、潤滑させます。
1-4. 汚れや異物の除去
機械の運転中に発生する金属粉や汚れ、異物などは、オイルやクーラントと共にオイルパン内に収集されます。これにより、内部の汚染を防ぎ、機械の動作精度と寿命を維持します。オイルパン内には、こうした異物を除去するためのフィルターや排出口を備えています。
1-5. 機械の保護と補強
一部のオイルパンは、機械の下部構造を保護する役割も担っています。これは、外部からの衝撃や道路上の障害物からエンジンや機械の重要な部分を守るための設計です。特に産業機械用のオイルパンでは、耐久性が求められ、過酷な環境下でも性能を発揮するための頑丈な素材を選定します。
2. オイルパンの製作のポイント
一般的なオイルパンは、2.3t、3.2tの鋼板材料を使用して板金加工で製作されます。軽量化が必要な場合は1.6tの材料を、作業者の負荷を考慮して4.5tや6tの材料が使用されることもあります。これらのオイルパンは、歪みを抑えるために補強が施され、水漏れ防止のための溶接技術が不可欠です。
3. オイルパンの設計と製作
オイルパンの設計はその用途と設置環境に応じて異なります。小型のものから、大型の2500×2000サイズまで存在します。特に、外観カバー取り付け用のオイルパンは、高品質の仕上げが求められます。これは、溶接痕や歪みが無いように細心の注意を払い、加工されます。
4.オイルパンの材質の選定ポイント
オイルパンの材質には、錆にくいSUS304ステンレスや、加工しやすくコストパフォーマンスに優れたSS400鋼などが使用されます。使用環境やコスト、加工性を考慮して最適な材質を選定することが重要です。
5.オイルパンの製作事例をご紹介!
ホース穴付きオイルパン
お客様から、洗浄機のオイルパンを製作してほしいといったご依頼をいただきました。
洗浄機は、水が漏れるためホースが通せる穴があるオイルパンを製作する必要がありました。
まず、製作にあたりホースのサイズ確認を実施いたしました。
その後、オイルパンに穴あけをするのですが、水が漏れないよう
ホースとぴったりの穴を開ける必要があります。
そのため、精度が求められるためレーザーでの穴あけを実施いたしました。
その後、その穴に曲げ加工で筒状にした板を溶接し固定いたしました。
ステンレス オイルパン
こちらの事例は、自動車業界で使用されるオイルパンの事例になります。オイルパン製作にあたっての背景として、もともと使用されていたものが老朽化により使用ができなくなり早急に交換してほしいといったことでした。そこで、当社は現物を確認し早急に対応いいたしました。現地調査にて、高所にある機械に使用するオイルパンと確認ができたため、高所に固定できるよう、穴開けを実施しソケットを取り付けました。
深底のオイルパン製作
お客様から、油が大量にでる機械のオイルパンを製作してほしいといったご依頼をいただきました。
そこで、当社は深底かつ油を受けやすくするために
一面に角度をつけたオイルパンを製作する旨をお伝えし採用いただきました。
また、コストを抑えたいとのことでしたので鉄にて製作いたしました。