型切り・型抜き・特注鋼材…最適な鋼材選びの3つのポイント

製品設計において、求められる形状や機能を満たす鋼材選定は、開発の成否を左右する重要な要素です。特に、型切り、型抜き、特注といった特殊加工を要する鋼材は、材質、形状、精度、コストなど、考慮すべき点が複雑に絡み合い、最適な選択が難しい場合があります。こちらでは、設計担当者・購買担当者の方々に向けて、型切り鋼材、型抜き鋼材、特注鋼材の選定における3つのポイントを解説し、最適な鋼材選びを支援します。

型切り・型抜き・特注鋼材の種類と選び方

まず、それぞれの鋼材の種類と特性を理解することが重要です。

型切り鋼材 

シャーリングマシン、レーザー切断機、ウォータージェット切断機などを用いて、板材から所定の形状に切断された鋼材です。シャーリングマシンは主に直線切断に用いられ、複雑な形状の切断にはレーザーやウォータージェットが用いられます。比較的単純な形状から複雑な形状まで対応でき、少量生産から大量生産まで対応可能です。材料としては、一般鋼材(SS400、S25C、S45Cなど)、ステンレス鋼(SUS304、SUS316、SUS430など)、アルミ材(A1050、A5052など)が使用されます。板厚や材質により、切断可能な板厚や精度が決定されます。

型抜き鋼材 

プレス加工によって金型を用いて打ち抜かれた鋼材です。複雑な形状の加工が可能で、高い寸法精度を実現できます。金型製作費は高額になりますが、大量生産に非常に適しており、単価を抑えることができます。自動車部品、電子部品など、様々な製品に使用されます。材料としては、冷間圧延鋼板(SPCC、SPCDなど)、ステンレス鋼板(SUS304、SUS301など)、表面処理鋼板(電気亜鉛めっき鋼板など)が用いられます。材料の硬さや延性、板厚が、抜き加工の可否や金型寿命に影響を与えます。

特注鋼材 

上記の型切りや型抜きでは対応できない、特殊な形状や寸法、材質、特殊な熱処理や表面処理が施された鋼材です。顧客のニーズに合わせてオーダーメイドで製造されるため、柔軟な対応が可能です。例えば、高強度で耐熱性も求められるような特殊な用途には、ニッケル基合金やチタン合金といった特殊鋼が適用されます。これらは高度な熱処理技術や表面処理技術を組み合わせることで、要求される特性を実現します。

鋼材選定においては、以下の点を考慮する必要があります。

必要な形状・寸法・公差 

設計図面に基づき、必要な形状・寸法・公差を明確に定義します。実現可能な精度や表面粗さは、加工方法によって制約を受けるため、事前に確認が必要です。

材料特性(機械的性質・物理的性質・化学的組成) 

強度、硬度、耐食性、耐熱性、延性、導電性、磁性など、必要な材料特性を考慮します。それぞれの特性は、材料の化学組成、熱処理条件、加工条件などに影響を受けます。

コスト 

材料費、加工費、金型費(型抜き加工の場合)、熱処理費、表面処理費、検査費、輸送費など、全体的なコストを考慮し、最適なバランスを見つけます。数量や納期によっても変動するため、複数の業者から見積もりを取得し比較検討することが重要です。

納期 

必要な納期を満たせるかを確認し、各工程のリードタイムを考慮した上で、余裕を持ったスケジュールを立案します。

鋼材加工の方法・コスト・精度

鋼材加工には様々な方法があり、それぞれにコスト、精度、加工可能な材質・板厚が異なります。

レーザー切断 

高精度、高速加工が可能ですが、設備投資費用が高額になる傾向があり、加工可能な板厚には制限があります。CO2レーザー、ファイバーレーザー、YAGレーザーなど、レーザーの種類によっても特性や適用範囲が異なります。

ウォータージェット切断 

熱影響が少なく、ほとんどの材料を切断できますが、加工速度が比較的遅く、ランニングコストが高価な場合があります。研磨材を使うか否かで切断可能な材質や精度が変わります。

プラズマ切断 

厚板の切断に適しており、高速切断が可能ですが、切断面が粗く、精度が低い場合があります。プラズマガスや電流値を調整することで、切断特性を制御します。

タレパン加工 

金型を用いて打ち抜く加工方法で、複雑な形状にも対応できますが、初期投資費用が高額で、金型の設計・製作期間が必要です。

シャーリング切断 

鋼板を直線状に切断する加工方法で、比較的低コストですが、複雑な形状には対応できません。

加工方法の選択は、必要な精度、形状の複雑さ、生産数量、そして予算を考慮して決定する必要があります。

型切鋼材はホウキンにお任せください

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